東日本大震災から2025年3月11日で14年。
地域の厄介者をおいしいものに変える持続可能な取り組みを見つめました。
高級食材として知られるウニ。
食べると特別な気分にもなれるウニが、東日本大震災から14年、「海の砂漠化」を進める“厄介者”になっていました。
海の“厄介者”を、“おいしいもの”に変える。持続可能な挑戦とは何か。
ワカメやカキなどの海上養殖で知られる宮城・南三陸町では、“海の砂漠化”が問題になっています。
水産加工会社「ケーエスフーズ」によると、津波の影響で三陸の海に生えていた海藻が流され、そこに「キタムラサキウニ」が異常繁殖。
アワビをはじめとする貝類や魚などを育てる海藻を食べ尽くし、「磯焼け」といわれる状態が進んでしまったといいます。
また、ここではウニにとっても食べ物が不十分。
やせ細って商品価値のない“厄介者”となってしまい、お金をかけて駆除していました。
そんな海の問題に立ち向かいたいと、真新しい堤防の前に建てられた施設は、南三陸町の水産加工会社「ケーエスフーズ」が運営するウニの陸上養殖施設「恵み養殖場」です。
住宅を建てることが禁止されている“災害危険区域”につくられました。
そんな場所で育てるウニのエサには、南三陸町名産の“ある食材”が使われています。
ケーエスフーズ・西條盛美取締役会長:
これは海で捨てられるコンブ。漁師さんにあげてもらい、エサにしている。
さらに、食品加工会社から出る、廃棄するはずだったキャベツや白菜もエサとして使用。
駆除直後は5%程度とスカスカだった実入りも、半年ほどで出荷可能な15%~20%ほどに改善することができました。
実がしっかり入ったウニの陸上養殖を可能にしたのは、海の中と同じような環境を作り上げた設備にあります。
約200メートル離れた志津川湾からポンプで海水をくみ上げ、ろ過装置を通し水槽へ。
水温や塩分濃度などはコンピューターで24時間管理をしています。
しかし、2022年の大雨では水槽内の塩分濃度が急激に低下。
2023年は、暑さによる水温の上昇で、約8割のウニが死滅。
温暖化の影響は、養殖に回すはずのキタムラサキウニの数の減少にもつながったといいます。
そこで「ケーエスフーズ」は、水温を下げるシステムを整備。
さらに、生き残ったウニで繁殖・ふ化をさせ、稚ウニからの養殖を進めています。
2025年は1万個、2026年以降は2万~3万個の出荷を目標に、持続可能な養殖業を目指します。
ケーエスフーズ・西條盛美取締役会長:
“地元のために”と(プロジェクトが)スタート。(ウニの陸上養殖が)うまい具合に進み始めていければ、持続可能で拡大もできる。非常に期待のできる業種だと思っている。こういう施設やここから出たノウハウが、うまい具合に生かしてもらえれば、非常にいい。
震災から14年。人にも海にも優しい取り組みから、新たな復興の輪を広げます。
FNNプライムオンライン
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